高校生のとき、道路工事の交通整理のバイトをしたことがある。高校3年生、1994年の冬のこと。
当時、長野は長野オリンピック前夜で、至る所で工事をしていた。翌春の上京を前にお金が欲しくて、先輩たちがたむろしているピザとお好み焼きをデリバリーするピザ屋のようなバーでバイトをしていた。この頃学校に行っていた記憶があまりなく、ほとんど行ってない気がする。月から金まで、17時~25時まで、デリバリーのバイトをしていた。そこの先輩の伝手で交通整理のバイトを知り、「お前も手伝えよ」と言われてついていった。人手が足りなかったんだと思う。夜から朝まで。日給で1万円。高校生にはかなり魅力的な金額だった。
長野市の中心地から少し外れたところに事務所があり、そこで警備員の制服に着替えた。何か簡単な手続きのようなものをしたような気もするし、していない気もする。忘れてしまった。「寒いから、制服の下にジャージはいとけ」と言われ、私服の上にジャージと制服を着込み、肘や膝が曲げきれないぐらいもこもこになった。事務所には、わかばやエコーを吸っているおっさんが数人いた。もこもこの先輩やもこもこのおっさんたちと一緒にハイエースに乗り込み、1時間かそれ以上、ひたすら山へと車は向かった。外はもう真っ暗で、街灯もない。山道なんだから街灯というのもおかしな感じなんだけど。道中、おっさんたちは若者の僕らに気を遣ってか、エロい話を嬉しそうに話してくれた。もちろん、寝ているおっさんもいた。
外はずっと真っ暗で、会話もなくなって、うとうとしていたら起こされた。6、7人いたおっさんは2人に減っていて、先輩は「俺、ここで降りるから」と言って車を降りた。なにもない真っ暗の道に、反射板のついた服を着た先輩を置いて、車は走り出した。「もうちょい先でにいちゃんも降ろすから」とおっさんは言った。車は、5分なのか、20分なのか、時間の感覚がゆがんだまま進んで、止った。
車を降りてみると、道路は意外と広く、「工事中」の光る看板も出ていて、心細さは少し和らいだ。
「こんなとこ、車なんて来ねえんだよ。心配すんな。朝5時に迎えに来るから」と言い残して、車は去っていった。長野の冬の、山の寒さは痛かった。つま先の感覚はすぐになくなったが、そんなことは日常だった。僕は時計を持っていなかった。とりあえずタバコを吸った。
本当に、車なんて来なかった。薄いオレンジの光が反射するアスファルトに震動が来た。少し先(それが何メートル、何キロ先なのかはわからないけれど)、そこで道路を掘るか、アスファルトを固めるか、とにかく何かしているんだろう。初めて持つ誘導灯を振って遊んでみたが、すぐに飽きた。タバコを吸った。歌を歌った。「ハイスクール!奇面組」のオープニングとエンディングのうしろゆびさされ組の歌を、繰り返し歌った。気になっている女の子と、どういうシチュエーションになればやれるか、を妄想した。数人分妄想したが、意外とそんなに気になっていない子との妄想がとても上手くいき、その子のことを少し好きになったりして時間を潰した。
車なんて来ないところに道路をつくって、ここにいったい誰が来るんだろう。きっと周りは山しかないんだろうけど、その山さえ見えないぐらい暗い、こんなところに。外国人が来て「Beautiful!」とでも言うんだろうか。帰ったらこのことを、その子に話そう。
深夜、なのか早朝なのか、車が来た。車からはおっさんが降りてきた。さっき一緒に来たおっさんなのかどうかは、もう覚えていなかったが、工事か警備のおっさんなのは確かだった。おっさんは「さみいから」と言って、缶コーヒーをくれた。「冷める前に飲めよ」と言って、アスファルトに唾を吐き、おっさんは車に乗り去っていった。すぐに、大きなトラックが1台通り過ぎた。缶コーヒーを手に持っていて、誘導灯を振ることができなかった。自分にできる唯一の仕事をすることができなくて、とても申し訳ない気持ちになった。
温かい缶を両手で大事に持ち、指先の感覚が少し戻ってきたところで、缶を開けた。缶コーヒーはぬるかった。舌は手より温度に敏感なんだな、と思った。向こうから、ヘッドライトがこちらへ向かってきた。缶コーヒーを足元に置き、今度こそ誘導灯を振った。できた。よかった。おっさんが道路に吐いた唾はもう凍っていて、缶コーヒーは冷たくなっていた。飲み終えた缶に、タバコの吸い殻を入れた。
車が迎えに来て、空が少し明るくなっていることに気づいた。缶を持って車に乗った。おっさんたちもみんな缶を持っていた。外の景色が見える明るさになっていて、外を見た。だいぶ先に、大きな鉄橋のようなものが、朝日を浴びて光っていた。車は道すがら、1人ずつ人を拾っていった。おっさんが「しょんべんしてえ」と言い、みんなで車を降りた。そういえば尿意を忘れていた。おっさんと並んで立ちションをした。おっさんはニヤニヤしながら何か言ったが、よく聞き取れず愛想笑いをした。おっさんは鉄橋のようなものを見て、眩しそうに目を細めた。僕も同じようにおっさんの視線の先を見た。「これで1万円だ悪くねえだろ?」と言われ、「そうすね」と答えた。これで稼いでさっさとこの町を出よう。強く思った。
このあと何度か交通整理をしたが、この山にはこれっきり来ることはなかった。あの鉄橋を長野新幹線が走るんだろう、たぶん。
長野オリンピックのとき、長野には戻らなかった。ピザ屋は、オリンピック前に繁華街に移転して、オリンピック後に潰れた。
2017/12/21 02:16 | Category:Essay, nicolas
街から
文学と音楽と映画が
いなくなって
もうだいぶたった
みんなもう覚えていない
かもしれないけど
今から10数年前
街にはカフェという場所があって
そこには
文学と音楽と映画があった
あの頃カフェは
店になりすました文学だった
店になりすました音楽だった
店になりすました映画だった
それに気づいた人々は
カフェを
偽物と罵った
偽物は街を追われ
本物の街には
無意味なものがなくなった
しばらくして
本物の街に
カフェが帰ってきた
カフェは
自らを本物と名乗った
本物のコーヒー
本物の食事
本物のデザート
街には本物があふれ
文学と音楽と映画は
居場所を失い
街を出ていった
本物の街は
静かで
美しく
正しい
なにかに
なりすましているようだった
それでも
この街にも
まだ
ある
目をぬすんで
文学と
音楽と
映画を
匿った
カフェが
2017/11/27 01:48 | Category:Essay, nicolas
本質、という言葉があまり好きではないので、
別の言葉に置きかえようとするのですが、
そうすると、うまく伝わりません。
逆に、本質、という言葉を使いさえすれば、
本質でないものまで本質として流布することも、
できるのかもしれません。
それが、本質という言葉の本質、
とまでは言いませんが、そういう一面があることは
確かだと思っています。
本質の本質、ではありませんよ、
本質という言葉の本質、です。
言葉っていうのは、ほんとに、あれです。
わかったような顔をしている人がいます。
わかったような顔するの上手だねえ、
ずいぶんと練習したんでしょう、
わかろうとすることを放棄して、
そのぶんその顔の練習したんでしょう。
わかったような顔をすると不誠実な気がするので、
なるべくわかったような顔はしないようにしよう、
わかったような顔をしない人のほうが、
ちゃんとわかってるような気がするんです。
そのほうが、近い気がするんです。あれに。
美しい人生の物語があったとして、
それを、その話を、その話の本質を、
泣ける話
に集約したら、広く伝わるでしょう。
でも、その話は、
その人生は、
そんな話じゃないんですよ。きっと。たぶん。
そんなあれじゃ、きっとないんです。
本質は、湖面の月のようなものです。
こう、言葉にすると、
言葉にした途端に本質から遠ざかる。
湖面の月を掴もうとすると、
それは消えてなくなる。
見上げると、月はずいぶん高いところにある。
それが本質の本質のような気もするし、
ぜんぜん違う気もします。
ほとんどなにもないような
あれ
に、ほとんどのことが
入ってるんじゃないかと思います。
これもたぶん、気のせいなんですが。
2017/11/20 01:15 | Category:Essay, nicolas
12月のお休みのおしらせです。
2(土)
5(火)
12(火)
19(火)
20(水)
27(水)
29(金)
30(土)
31(日)
12/2(土)は
「映画とお菓子とコーヒーと」
「駆け込みアアニコ vol.03」
12/27(水)は
「扇谷一穂&tico moon『わたしがほどかれて』」
のため、通常営業はお休みです。
12/12(火)~1/12(金)まで
「ミロコマチコ×nicolas『まっくらやみのまっくろカフェ』」
です。
12/26(火)は、
定休日ですが営業いたします。
12/29(金)より、
年末年始休業をいただきます。
よろしくお願いいたします。
2017/11/19 15:37 | Category:nicolas
扇谷一穂&tico moon『わたしがほどかれて』

日程は、2017年12月27日(水)
会場は、nicolas(世田谷区太子堂4-28-10鈴木ビル2F)
時間は、19時開場、19時30分開演
料金は、4800円(nicolasの前菜+メイン+デザート+1ドリンク付き)
定員は、18名さま
出演は、扇谷一穂(歌と朗読)、tico moon(ハープとギター)
—-
おやすみなさい、いい夢を
眠りはじめたら、どこかへいってしまうわたし
コントロールしていた世界が消え、時間の感覚もなくなり
わたしも、世界もほどかれて、やがてたどりつく、夢の世界
わたしはいるのに、ままならない世界
ままならなさは、わたしの間抜けさや、滑稽さ
ほどかれて見えてきた、ままならない世界は、何ものにもとらわれなかった、子供の世界に似ている
思えば、子供のころは、意識と、無意識と、夢の区別がついていなかった
ただ、夢中に生きていた
その時に見えていたのが、世界の、ほんとうの姿だったのかもしれない
覚醒しているわたしに、夢を見させることができたら
ほんとうの豊かさを含んだ世界に、目覚めながら気づけるかもしれない
覚醒している三軒茶屋に、眠りを
扇谷一穂の声と、tico moonのハープとギターの調べが、もたらします
ほどかれたわたしに、夢を
nicolasの料理とデザートが、誘います
—
ご予約:下記メールアドレスに必要事項を明記しメールをお送りください。
ignition.gallery@gmail.com
件名「わたしがほどかれて」
1.お名前(ふりがな)
2.当日のご連絡先
3.ご予約人数
*ご予約申し込みメール受信後、数日以内に受付確認のメールをお送り致します。
*メール受信設定などでドメイン指定をされている方は、ご確認をお願い致します。
*当日無断キャンセルの方にはキャンセル料を頂戴しております。定員に達し次第、受付終了いたします。
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プロフィール:
扇谷一穂 Kazuho Oogiya
東京生まれ。幼少時より能とバイオリンを習う。
中学生の時ジャズを夢中で聴くうちに、音としての自分の歌声の響きに面白さを感じ、大学在学中にオリジナル曲を作り始める。
’02年オリジナル曲アルバム『しののめ』(midicreative)、にてアルバムデビュー。深く手触りのある歌声と、都会的なセンス溢れる詞と楽曲で注目を集める。
’07年におおはた雄一プロデュースによる、スタンダードを中心としたカバーアルバム『Canary』(galactic)、
’10年に『たくさんのまばたき』(tropical)をリリース。3アルバムともにアートワークを自ら手がけ、個展・ライブを重ねる。
CM曲やナレーション、朗読、客演作品も多数。ゴンチチのクリスマスアルバムへ作詞・歌唱で参加するなど多彩に活動している。
http://kazuhooogiya.wix.com/kazuhooogiya
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tico moon(ティコムーン)
吉野 友加 ハープ
影山 敏彦 ギター
2001年7月、ハープ奏者/吉野友加と、ギター奏者/影山敏彦によって結成されたデュオユニット。ハープとアコースティックギターという、他ではあまり聴く事の出来ない温かく透明感のある演奏や楽曲には定評があり、全国各地のカフェやギャラリー等でコンスタントに演奏活動を行っている。
2003年10月、333DISCSからファーストアルバム「lento」をリリース。その後、オリジナルアルバム、クリスマスアルバム、ライブアルバム等の作品を発表し続けている。
2009年には映像制作チームSOVAT THEATERによるストップモーションアニメーション『電信柱エレミの恋』(第13回文化庁メディア芸術祭優秀賞、第64回毎日映画コンクール大藤信郎賞受賞)の音楽を全編担当。
また他のミュージシャンからの信頼も厚く、遊佐未森、空気公団、おおはた雄一、湯川潮音、アン・サリー、谷山浩子等、数多くのレコーディングやコンサートに参加している。
2017年9月、初めてのベストアルバム「Beautiful Days」をリリース。
Official Website
www.ticomoon.com/
www.facebook.com/ticomoon
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企画:熊谷充紘(ignition gallery)
ビジュアル:扇谷一穂
2017/11/19 14:40 | Category:Event, Music, nicolas
ミロコマチコ×nicolas「まっくらやみのまっくろカフェ」

期間:2017年12月12日(火)〜2018年1月12日(金)
場所:nicolas(世田谷区太子堂4-28-10鈴木ビル2F)
営業時間:16時〜24時
定休日:火曜日、第三水曜日
電話:03-6804-0425
オープニングイベント:2017年12月12日(火)「描く、食べる、踊る、まっくろ」
*展示を観るだけの方も歓迎致します。席に着かれる場合は、ワンオーダーをお願い致します。あらかじめ料理やデザートをご希望の方は、事前にnicolasへ席のご予約をお願い致します。臨時の営業時間の変更などは、nicolasのtwitterやblogをご確認ください。
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ミロコマチコの絵本『まっくらやみのまっくろ』(小学館)を読んで、大げさかもしれませんが、生まれ直したような気持ちになりました。
まっくらやみのまっくろは、自分が何者かわかりません。でも体の奥から力がみなぎってくる。「ぎゅわーん」。いきなり角が生えてきた!「そうか、ぼくはサイなのか。すごく誇らしい気分だ。」しかしまだまだ変化は止まらない。
まっくらは、見えないだけで、そこには何かがある。
まっくろは、色々な色がごちゃ混ぜになって生まれた色なのかもしれない。
12月12日から1月12日まで、nicolasが「まっくらやみのまっくろカフェ」になります。
期間中、まっくろの料理やデザートなどがメニューに並びます。
普段、食べ物は食べると消えてしまっているようだけれど、実は見えない体の中を巡ってエネルギーになっている。まっくらには、命が蠢いている。
カフェのオープニングは、nicolasが用意したまっくろの食材を使って、ミロコマチコがまっくろを描き、でき上がったまっくろを皆で食べます。
描かれていくまっくろが自分の体内にもある。体内でも踊っている。
期間中、まっくろを育てていきます(勝手に育っていくだけかもしれませんし、もしかしたら育たないかもしれません)。
2017年と2018年では、何かしら変化があると思うので、まっくろの成長を見に、ぜひ何度かお越しください。
ミロコマチコのまっくろドローイングの展示もします。
絵本「まっくらやみのまっくろ」をご購入の方には、ミロコマチコが選んだ“種”をプレゼントします。
まっくらは怖いけれど、手を伸ばしてみると、いろんなエネルギーに満ちている。まっくろはいろんな色からできていて、いろんなまっくろがある。
まっくろは、何色にもなれる。何にでもなれる。
そのまっくろは、自分の中にもある。
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オープニングイベント「描く、食べる、踊る、まっくろ」
日程:2017年12月12日(火)
開場:19時 開演:19時30分
料金:3900円(まっくろ料理、デザート、1ドリンク付き)
定員:18名さま
nicolasのまっくろ前菜とまっくろメインを食べたあと、nicolasが用意したまっくろ食材を使って、ミロコマチコがまっくろデザートを描き、皆でまっくろを食べます。
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ご予約:下記メールアドレスに必要事項を明記しメールをお送りください。
ignition.gallery@gmail.com
件名「描く、食べる、踊る、まっくろ」
1.お名前(ふりがな)
2.当日のご連絡先
3.ご予約人数
*ご予約申し込みメール受信後、数日以内に受付確認のメールをお送り致します。
*メール受信設定などでドメイン指定をされている方は、ご確認をお願い致します。
*当日無断キャンセルの方にはキャンセル料を頂戴しております。定員に達し次第、受付終了いたします。
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プロフィール:
ミロコマチコ

画家・絵本作家。1981年大阪府生まれ。2003年、京都精華大学人文学部人文学科卒業。2006年アートスクール梅田(現アートスクール大阪)絵本コース卒業。2005年より各地で個展を開催。2012年『オオカミがとぶひ』で絵本作家デビュー。以降、作・絵を手掛けた絵本は、4作連続して主要な絵本賞を受賞。近年はメルボルン、ヘルシンキ、イギリス等でも個展が開かれている。NHK Eテレ「コレナンデ商会」ではセットや歌の絵などを担当している。
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企画:熊谷充紘(ignition gallery)
2017/11/12 00:43 | Category:Event, Food, Illustration
http://blog.goo.ne.jp/aaltocoffee/e/1127cd68f5697a015b019cb841e52325
駆け込みアアニコ3回目の開催です。
「駆け込みアアニコ」というのは、
アアルトコーヒーの庄野さんとニコラの曽根が、
雑談をするイベントです。
ためになるセミナーみたいなものでは全くありませんが、
ためにならないものこそ重要、と思っている方には、
なにかお伝えできるのではないかと思っています。
ロフトプラスワンを目指します。
ぜひお越しください。
駆け込みアアニコ vol.03
12月2日(土)12:00-13:30 1,000円(1ドリンク付)
場所:nicolas 世田谷区太子堂4-28-10 鈴木ビル2F
曽根雅典(nicolas)×庄野雄治(14g/aalto coffee and the rooster)
ご予約 nicolas info@nicolasnicolas.com 03-6804-0425
2017/11/09 14:12 | Category:Event, nicolas
「映画とお菓子とコーヒーと」
アアルトコーヒー庄野さんと、映画監督の井口奈己さんのトークイベントを
nicolasにて開催します。
井口監督の『犬猫』も上映します。
ご予約はお早めに。
お申し込みお待ちしてます。
「映画とお菓子とコーヒーと」
12月2日(土)15:00-
場所:nicolas 東京都世田谷区太子堂4丁目28-10 鈴木ビル2F
料金:2,500円 二コラのお菓子とアアルトコーヒー付
ぴあフィルムフェスティバルで企画賞を受賞した井口奈己監督のデビュー作『犬猫』オリジナル版を上映、
その後、井口監督とアアルトコーヒー庄野のトークイベント。
映画を作ること、映画監督の仕事とは、映画をほとんど見たことがない今どき稀有なコーヒー屋が井口監督に迫る夕べ。知らないからこそ知りたい、きっと毎日を懸命に生きている人の心に残る時間になることでしょう。
二コラのお菓子とコーヒーと一緒に土曜の夕べをお楽しみください。
● ご予約 nicolas 03-6804-0425 info@nicolasnicolas.com
メールの件名を「映画とお菓子とコーヒーと」としてお名前、人数、お電話番号を明記の上、お申し込みください。折り返し確認メールを返送いたします。確認メールが届いたら予約完了です。
※ 定員になり次第、締め切りとさせていただきますので、あらかじめご了承ください。
メールは自動返信ではないので、返信に2、3日お時間をいただいてしまうことがございます。2、3日経っても確認メールが届かない場合はお手数ですがニコラ:03-6804-0425(営業時間 16~24時 火曜日・第3水曜日は休)までご連絡ください。
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井口奈己 (映画監督)
脚本・演出を手がけた 8mm 映画『犬猫』が PFF アワード 2001 で企画賞を受賞。 2004 年に『犬猫』を 35mm でセルフリメイクし、商業映画監督デビューし、第 22 回トリノ国際映画祭で審査員特別賞、国際批評家連盟賞、最優秀脚本賞を受賞したほか、女性監督として初めて日本映画監督協会新人賞を受賞。 2008 年に『人のセックスを笑うな』、 2014 年に『ニシノユキヒコの恋と冒険』が公開。
aalto coffee and the rooster
http://aaltocoffee.com/
2017/11/03 14:42 | Category:Event, Film, nicolas
11月のお休みのおしらせです。
7(火)
14(火)
15(水)
21(火)
28(火)
よろしくお願いいたします。
2017/10/27 02:07 | Category:nicolas
なぜ、本を読んだり映画を観たり音楽を聴いたり芝居を観たり、
美術館に行ったりおいしいものを食べに行ったりするのか。
楽しいから気持ちいいから、がいちばんの理由なのですが、
それらがわからなかったことを教えてくれるから、
というのもひとつの要因だと思っています。
わからないものがわかると、わかったことはひとつ増えますが、
それに付随して、知りもしなかったわからなかったこと、
というものが膨大に増えます。
ということは、わかればわかるほど、
わからないことがとんでもなく増えていくことになります。
つまりは、わかった、というのは、わかった気になる、ということ。
「自分はなにもわかってない」とわかること。
ここがまず、スタートだと思っています。
人になにかを伝えようとします。
よく言われることですが、
「わかってるやつは言わなくてもわかってる。
わかってないやつは言ってもわからない」
たしか、立川談志さんの言葉だったと思います。
そうなると、なにも言えなくなってくる。
それでも、真摯に言葉を紡ごうとすることをやめない。
わかってる、と思ってた人が実はわかってなかった、
ということもあると思いますし、
自分の考えを絶対に変えない人、なんていうのは実は
そんなにいないと思っているので、
何かのタイミングで、今まで頑なに拒否していたものが、
すっ、と
受け入れられたりするものです。
ただ、自分の保身のために、
誰かを貶めるために、
なにかを伝えようとは思いません。
いや、正確に言えば、言ってやりたいと思いはします。
でも、言いたくない。
言ってしまうこともあるけど、できるだけ言いたくない。
それがきっと美意識というやつで、
他人から正確に理解してもらうための弁明
というものをするぐらいなら、
誤解されていても仕方ない、ぐらいに思っています。
だってきっと、
誰かのことを正確に理解するなんてことはありえない、
ということが、
「自分はなにもわかっていない」ということが、
わかってきた気がするからです。
人を信用するということは、
「あなたはわたしを裏切らない」
ではなくて、
「あなたがわたしを裏切っても、いいよ」
だと思ってます。
2017/10/27 02:05 | Category:Essay, nicolas
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