かつて、わたしの住んでいた町は

かつて、わたしの住んでいた町は、自然が美しい町だった。

その町でオリンピックが開催されることになり、
人々は、自然を自分の所有物のように誇った。
人々が自然を征服した証を、そこに建てた。
町は、足並みを揃えた。
わたしは、町を出た。

「日本サイコー」が気味が悪いと、多くの人は言う。
なのに、
「我が町サイコー」はとてもいいことのように言う、
不思議なものだ。
その山は、川は、海は空は、
あなたたちの所有物なのだろうか。

これだけ信者ビジネスが一般的になると、
神として神輿に担がれている人がたくさんいる。
神様のように自分を見せることが上手な人が
とてもたくさんいるみたいだ。
音楽と食べ物は、とくに神様になりやすいみたいだ。
神様になると、企業や行政から
お金がもらえるのかな。

神格化されないように
自覚的な人の誠実さを
好ましく思う。

足並みが揃っていない場所がいい。
そこでは、共感の強制もない。
そこは、いろんな人が、居ていい場所のはずだ。
そこが居場所だ。