我が師。
誰に教わるか、というのは、とても大事だと思う。
レシピなんて今、世の中にあふれてる。
技術は、日々の積み重ねだ。
10年やれば、オレでもこのぐらいできるようになる。
生き様?
オレの人生、失敗ばっかりだ。
料理人なんて、肉体労働者だ。
お前の料理は、なんだ?
オレはお前に何も教えてねえよ。
オレが、そんないい言葉、言ったのか?覚えてねえな。
師匠に教わったのは、そういうことだった。
20代の半ば、まかないで食べた師匠のパスタの衝撃は、
今でも更新されていない。
おそろしいほどナイーブで、
すぐくよくよして、
音楽が好きで、
酒が好きで、
いつも酒に呑まれていて、
でも厨房に立つと、
魂を削るように料理を作る人だった。
夢をあきらめたことがある人だった。
いつでも、弱くて、もがいてるやつの味方だった。
シェフ、あんたの料理が食いたいよ。