町に生きる音。
Hemisphereのキャラバン、愛知・奈良・鳥取のツアーが終わり、
新幹線で東京に戻ってきました。
品川から山手線にのるとき、ちょうどラッシュの時間帯で、
たくさんの人がホームにあふれていました。
各地で「東京は、地方出身者のあつまり」というような話もしてきたあとで、
いま、ここにいる人たちひとりひとりに、地元と呼べるような場所があって、
そこには、人と、おいしい食べ物と、町の音があるんだな、
なんてことを思いました。
蒜山で、倉吉・夜長茶廊の石亀さんたちと一緒に、
その土地の野菜を食べて、そのあと、お店の外のベンチでぼんやりしていたとき、
セミの声、ウグイスの声、車の音、山の風の音、陽射しの音、
子供のころの夏休みの音が、そこにありました。
それが、この品川駅のホームにいる人たちのぶんだけあるんだな、
と思ったら、ラッシュの混雑が少しだけ、いとおしくなりました。
(それは哀しみを含んだいとおしさかもしれない)
キャラバンのツアーがとても楽しかったので、
それを言葉にしたいのですが、
言葉にすると大切なものがたくさんこぼれ落ちてしまいます。
でも、言葉にしたときにこぼれ落ちてしまったものを、
丁寧に拾ってくれる人たちにたくさん会ってきたので、
不完全でも言葉にしておこうと思います。
蒜山でゆにさん玄さんと別れ、
津山で庄野さんと別れ、三河安城で熊谷さんと別れ、
伏見、ならまち、倉吉とまわったキャラバンのメンバーは、
それぞれの地元に帰っていき、
僕たちは地元を通りすぎて三軒茶屋に帰りました。
地元に愛があって、いま東京にいる人もいるし、
地元に憎しみがあって、いま東京にいる人もいる。
地元は嫌いだけど、家族は好きな人もいるし、
地元は好きだけど、家族は嫌いな人もいる。
ふるさと難民あふれる東京で、
二コラはお店をやっています。
キャラバンの集まりが、小さな町のようでした。
でも、その小さな町には、大事なものが全部あった気がします。
またこのメンバーでどこかの町にいく機会があったら、いきたい。